ガレージキットの素材にコールドキャストを選択した理由
■質感と重量
「ガレージキット」の素材は?と聞けば、誰もがPU(ポリウレタン)と答えるほど素材として受容されていますが、とても軽く、素材としての質感や重量感はあまりありません。
M-ARTSが製作する作品は、茨木彰原型の怪獣造型であったり、リアル仏像であったり、アート性の強い作家との立体コラボレーション作品であるため、質感と重量が非常に重要なウェイトを占めます。
そこで素材に石粉をまぜて、圧倒的な重量と質感を持たすことができるコールドキャストを選択しております。
また、石粉の量(含有率)をパーツ毎に変えることもでき、例えば怪獣を例に挙げるなら、重量を持たせたい胴体には多く入れ、羽のように軽くしたいパーツには少量で対応するといった技も可能です。
■製作利便の向上
「ガレージキット」を購入し、取説を読むと必ず出てくる、
@油分が付着しているので中性洗剤で洗い落としてください。
Aニッパー、ヤスリ、カッターでパーティングラインを取り除き、気泡・段差等はパテでうめてください。
Bパーツのジョイント部は真鍮線等で補強してください。
といった状況が初心者にとってあまりにハードルが高く、挫折してしまう要因だと考えました。
ポリストーンであれば、
@中性洗剤で洗う必要はありません。
A先にリューターでパリ・パーティングラインを処理しているので組立も簡単です。
Bジョイント部も補強が必要ないようダボ作りに取り組んでいます。
このように製作利便を非常に向上させ、誰でもガレージキットを製作できるようにしました。
■ガレージキットの適正価格
周知の通りPUは石油製品なので、ただでさえもともと高い素材費に拍車をかけた値上がりが続いています。
30cmを超える造形物を、PUキットで販売しようと思うと4万〜5万は当たり前という状況になっており、塗装済完成品ならともかく、キットでこの値段設定は適正価格を考える上でどうかという疑問も抱いています。
コールドキャストであれば、PUほどコスト上昇の煽りを受けないという利点もございます。